こんにちは
ヒレカツです。函館旅行の二日目です。
函館の観光地をほぼ一日で回ってしまったため急遽作戦を練り直すことになった。函館本線の鈍行列車で某秘境駅にでも行こうと思ったが、函館には新幹線も走っている。意外とすぐに行ける本州青森県に抜けることにした。
道南いさりび鉄道
終着駅まで乗車するのがこの列車。ずいぶん国鉄色の残る車体である。(そうか…?)ただ乗った瞬間ありえないくらいの熱気が漂っていた。それもそのはず、冷房装置がついていないのである。あるのは天井に引っ付いている扇風機のみ。それは暑いわけだ。山岳地帯を抜けると海、また山岳に入り…を繰り返す。晴天のため見晴らしがとても良い。奥にぼんやり見えているのが松前半島。旅情があり、乙なモノです。そうこうしているうちに到着した木古内駅。おそらく国鉄時代のものであろう行き先のパネルが展示されていた。調べたところ、第三セクターの道南いさりび鉄道になる前は江差線という名称だったそう。廃線になったのは2014年、本当に最近である。鉄道、奥が深い。一応新幹線も通っており立派な駅舎だが、少し大げさな造りにも思えた。函館と比較すると人通りもかなり少ない。駅前には道の駅も併設されていた。ただ車で来ている観光客が多く、鉄道で遥々来ている異端児はおそらく自分だけだった。ワイワイ系の人ばかりだったので渋々近くの小さな喫茶店に入ったが、ここも地元民らしきマダムで賑やかなご様子。入ってしまったからには出るのもアレなので、コーヒーだけ注文し”一瞬”で退店した。ところで『けっぱる』という方言を初めて生で聞いた。地方に来るとこういうことがあるから面白い。なかなか絵になるね。(鉄道くんでは、断じてございません。)今回向かうのは奥津軽いまべつ駅。木古内からは一駅しか離れていないが、40分くらいかかる。新幹線に乗るのはOJT研修で営業に同行して以来、実に2年ぶりか…。
奥津軽いまべつ駅
奥津軽いまべつ駅に到着したが、どうも様子がおかしい。降りたのは自分一人だけで、駅には人の気配が全くなかった。と言うか辺り一帯山なんだが。腐っても新幹線の駅なのにこの有様はさすがに…。調べたところ一日当たりの乗車人員はたった70人程度。さらにはほとんどの新幹線が通過するため、降りることも困難である(そもそも降りたところですることがない)。新幹線の駅では断トツで秘境だろう。一応津軽線の津軽二股という駅と隣接しているが、乗り換え時間は全く考慮されていない。結局1時間待つ羽目になった。一両のディーゼルカーが来た。意外と座席は埋まっており、地元の老人5割、観光客2割といった具合。ひたすら田園風景が広がっていた。こういうのでいいんですよ、こういうので。津軽半島の終着駅、三厩駅に到着。下北駅(本州最北端の駅)は二年前に訪問したので、意図しない形で本州最北端に位置する両駅を制覇してしまった。駅前からは寂れた道が続き、本当に最果て感がある。
ここからはバスで龍飛崎まで向かうことにした。写真を撮り忘れていたが、マイクロバスのようなものに乗る。中では老人たちが津軽弁交じり(聞いていた限りほぼほぼ何を言っているのかわからなかった)で運転手と談笑していた。まるで地域住民の憩いの場のようである。
そして一番驚いたのが、明らかにバス停ではない場所、それも地域住民の家の前で停車し乗り降りをさせていたのである。まさに町民全員が家族のような雰囲気だった。『何もない』がある地域だからこそある、こういうアットホームな雰囲気がたまらなく好きだ。
ちなみに帰りのバスは90分後だが、それだと龍飛崎だけを観光するには時間が余りすぎてしまうという理由から、特別にバスのルートを変更していただけた。龍飛館というかつての旅館を観光案内所にした施設の前で降ろしてもらうことに。本当にありがたい。田舎と言うとどうしても排他的で陰湿な印象を持たれがち(自分の地元がまさにそれ)だが、ここ外ヶ浜町は違った。バスの料金も100円均一と良心的であり、利益を追求するというよりは観光客をもてなす気持ちが伝わってくる。
龍飛館
龍飛館の公式サイト 昔は旅館だった施設をそのまま観光案内所にした施設。外観が多分当時のままなのが味がある。小説『津軽』で太宰治がNくんと過ごした部屋。あまりにも熱心に見ていたものだから、女将に太宰ファンなのかと勘違いされた。けど『津軽』はさすがに読み返そうと思う。他にも階段国道の歴史や龍飛崎に関する過去の写真が展示されていた。これで入館料は無料な上に一枚紙で作られた記念品も貰った。逆に申し訳なくなってくるわね…。向かいの海岸にはウミネコがいた。八戸でもそうだだったが、青森県はウミネコがやたら生息している。
階段国道
国道339号。弘前から龍飛崎までを結ぶ何の変哲もない国道だが、最後の数百メートルが階段になっている。高低差は70メートルあるので徒歩でないとキツいと思う。もはや軽いトレッキングコースである。半分くらい登ったところだが、ここからでも十分景色は良い。下北半島がよく見える。ゼェゼェ息を切らせながらようやくたどり着いた。見下ろせば、遥か高いところまで来てしまったものだ。(nano.RIPE)
津軽半島冬景色歌謡碑
少し進んだところに石川さゆりの有名な曲、津軽半島冬景色の記念碑がある。ボタンを押すと津軽海峡冬景色が爆音で流れる。だいたい訪れた人全員が押しているため、常に津軽半島冬景色が響き渡っている状態。なかなかカオスである。
龍飛崎灯台
今回のメインスポット。ここが本当の津軽半島最北端の地。風が強すぎて立っているのもやっとなくらい。うっすらだが北海道最南端に位置する白神岬が見えた。振り返ると右が外ヶ浜町、真ん中が今別方面、左が仏ヶ浦と言った具合か。天気に恵まれたおかげで見晴らしが非常に良い。90分の観光時間だったが満喫することができた。青函トンネル記念館は臨時休業中だったため行けず。
バスで三厩駅→津軽線で奥津軽いまべつ駅まで戻ったあとはまたまた1時間の待ち時間。最後は新幹線で函館まで帰還する。昼からほぼ何も食べていなかったため〆は勿論(勿論?)セイコーマート。本当は駅前のラッキーピエロに行きたかったが20組以上が待っていたので断念した。もう静岡のさわやかレベルだろ…
総括
函館を起点に回った今回の旅行。実際に移動してみて、函館の観光エリアがほぼ一か所に集中しているのが意外だった。その気になれば、始発の便で函館空港まで行き夕方の便で帰る弾丸旅行も可能なくらいである。
今になって思えば、二日目は小幌駅に行かなくて本当に良かった。結局龍飛崎の散策時間よりも移動と列車の待ち時間の方が圧倒的に長かったが、そうまでしてでも龍飛崎を観光した甲斐はあったと思う。
そして久しぶりに人の優しさを感じた。身延然り、会津若松然り、『何もない』がある観光地の方が人情味に溢れている気がする。本当にお世話になりました。ひとまず知床以外の行きたいところはほとんど回れたので、北海道は当分はお預けになりそう。小幌駅、まあそのうち行けたら行くわ笑(ダチ)。最後に、翌日の帰りの飛行機から富士山がくっきりと見えた。True Endとはまさにこのこと。久しぶりに全てが計画通りに進み、最高の旅行だった。
…と思っていたが、着陸体勢に入った辺りで突然飛行機が上昇し始めた。アナウンスによるとバードストライクが発生した模様。着陸が30分程度遅れる始末になった。
結局、今回も最後の最後で思わぬ形でトラブルに巻き込まれることになったが、まあそれはご愛嬌ということで。