ヒレの旅々

2021年以降の旅行の備忘録です

都心から最も近い離島伊豆大島を歩いてきた話

こんにちは

ヒレカツです。3月に伊豆大島に行ってきました。東海汽船のキャンペーンで、平日の2等和室は6000円で往復できる破格の安さ。今回はこれを利用する。三宅島の時とは違い、伊豆大島神津島行きの船は人が多すぎる。自分の客室は爺さんしかいなくて苦しい。東京タワー、助けてくれ。

一日目

岡田港

早朝6時、ほぼ眠れないまま伊豆大島の岡田港着。案の定大半の乗客が降りていた。富士山、ここからでも見えるんだ…(どうやら富士山が見える最も遠い場所は和歌山県らしい)

元町港

フェリーに接続している路線バスで元町港に来た。岡田港よりも飲食店や宿泊施設が揃っており、今回はここを起点としていく。島内で朝から営業している飲食店は貴重。港からすぐの食事処でべっこう丼を食す。白身魚島唐辛子と醤油で漬けた大島のソウルフード、旨すぎて秒で完食。

三原山

数少ない路線バスで三原山の入り口まで来た。伊豆大島を象徴する三原山トレッキングを開始。道は舗装されているので歩くのは楽勝。当然ひたすら登るのであとは己の体力次第だが……途中火山岩らしきものがゴロゴロ転がっていた。かつて大島で噴火があったことは聞いていたが、改めて火山島だと実感する。登山口から30分程度で三原神社にたどり着いた。1時間以上はかかるものだと勝手に思っていたが、これならすんなり回れそうだ。それにしても富士山の主張がすごいな。基本どこからでも見える。元町港。こうして見下ろすと郊外の住宅街のようで離島感は皆無。これから山を反時計回りに進むお鉢巡りをしていく。それとこれはホルニトという謎のジオスポット。ここから標高は一気に上がる。熱海か伊東っぽい街並みも見えている。進行方向には利島、新島、式根島神津島。離島のオンパレードで眼福です。コンテナと房総半島の館山市。本当に四方八方の街を眺めるのが楽しくて…。ついに三原山の火口到着。1987年に起きた大噴火の影響でこの一面だけ穴が開いている。自然の力ってすごいな。富士さん(近所の人)もそう思いますよね?また火口付近では少しだが噴煙も上がっていた。念のため息を止めさっさと通過する。本当によくここまで立て直したなぁと達観ぶってみる。道を整備してくれている方々に感謝しかない。やはりこの近辺は火山岩が多かった。触ると軽石のような触感。意外とすぐにお鉢巡りも終えてしまった。そのまま登山道に戻るのも味気ないので、少し寄り道していく。

裏砂漠

ここでようやく休憩。登山中に食うスパムむすびが一番美味いんだよな。ここは日本で唯一の”砂漠”という名前が付けられている場所、その名も裏砂漠。この一帯だけ黒い火山岩で覆われている。確かに一面黒っぽいし一応砂漠なのか…と自分に言い聞かせてみる。ひたすら下山していく。今歩いているテキサスコースは道も舗装されておらず本格的なトレッキングコースといった感じ。どこ?ようやく下山し切ったしたと思いきや、訳の分からない道に出てきた。電波は繋がらず、渋々歩いていたところ大島公園付近であることが判明。バス停もないのでこのまま歩くが…脚はそろそろ限界になってきた、勘弁してくれ。

大島公園

ひいこら言いつつどうにか大島公園に着いた。さすがに一度休憩したい。大島アイス、バターの風味がたまらんもの。そうこうしているうちにあんこさん(年配の女性という島言葉)達による踊りが開始。何も知らずに座っていたので、最前列を確保しているガチ勢の人になってしまった。

大島動物園

無料で入場できる動物園も併設されている。自分以外誰もいなかったので穴場として良さそう。一生口をモゴモゴしてる。ラマかわええな…。キョン、繁殖するわよ!動物園は久しく行っていなかったが、まさか大島でここまで満喫できるとは思いもしなかった。

泉津の切り通し

大島公園から出ているバスは本数があるので移動は容易。根の間に通路があるスポット、泉津の切り通しにやって来た。陽がタイミングよく当たると神秘的ですよ~という所謂インスタ映えの場所。そう都合よく陽が当たるはずもなく…。正直5分あれば十分だが、次のバスまでは1時間ある。こういうスポットでは自分ならではの良さを見つけるしかない。みかん落ちてますよ。みかん乗っかってますよ。ここにきて初めて特産物である椿を発見。結局この後椿を見ることはなかったので、一応ノルマは達成したかな。大島町の公僕、絶賛募集中らしいです。

地層切断面

元町港でバスを乗り継ぎ、島西部にあるジオスポット地方切断面に到着。バームクーヘンとは一体。600メートル以上も地層の断面が続いている。自然の力ってすげー。(適当)なるほど確かに断面がバームクーヘンに見えないこともない。このネーミングセンスには素直に脱帽です。うっすらと三宅島まで見えていて思わず爆笑。伊豆諸島って晴れてるとこんなに眺めが良いんだ。(三宅島編を要参照)元町港付近の宿にチェックイン後、夕日を眺めに来た。伊豆半島に沈んでいく夕日、実に雅なもの。18時、予約していた居酒屋に入店。大島で釣れた白身魚のフライ。伊豆大島の地焼酎、御神火。島の酒ということで若干構えていたが、口当たりがよく想像以上に飲みやすかった。合わせる料理は豚肉のべっこう焼き。今朝食べたべっこう丼と同じく、島唐辛子と醤油で味付けされている。

マスターと隣の客もとてもフレンドリーで会話が弾んだ。三原山から大島公園まで歩いたことを告げたら「お兄さん相当変態ですよ。」と言われる。ちなみにマスターは伊豆大島出身で、隣の客は八丈島出身で島を転々としているそう。伊豆諸島名物明日葉の和え物。これも苦みが効いていて最高のツマミ。ここらで加速しすぎて御神火を5杯近く注文していた。

そして隣のおっさんの酔いもエスカレートし、他の女性客含めてまあまあ面倒なことになりかけたがどうにか一線を越えずに退店。気が付いたら一人で7000円も使っていたが、いろんな意味で良い思い出となったから良しとするか。

二日目

波浮港見晴台

昨夜飲みすぎたせいもあり完全に二日酔いだったが、バスの都合上早朝から活動開始。元町港から島南部の波浮地域に来た。なんだそのポーズは。向かいにある休憩所でモーニングとする。島海苔ラーメンを注文するとこれでもかという量の島海苔が乗っかっていた。シンプルながらも家庭的で優しい味の醤油ラーメン、こういうのでええ。それとここ波浮地域はこれ描いて死ねという物騒な名前の漫画の聖地となっているそう。機会があれば読んでみようかな。見晴台から眺めていた港まで歩いてみる。この辺りは歩道があるためウォーキングも問題なし。大島にパチンコなんてあるのか。謎のコミカルなラーメン屋、ずいぶん辺鄙なところにあるんだな。階段を下っていくと波浮の町並みが見えてきた。

波浮港

丁度利島行きのヘリでできた飛行機雲を見送り港の散策を開始。波浮は与謝野晶子幸田露伴が訪れた文学の町として知られている。確かに岡田港や元町港とは対照的な雰囲気で、昔ながらの古民家がそのまま残されている。これが本当の”乙”というやつか。鵜飼商店の名物だというコロッケを購入。玉ねぎベースで甘く、食べ歩きに最適な一品。それにしても最高に天気が良い。離島は晴れた日に限るな。他に誰もいなかったのでバスの時間まで座禅を組んでいた。

御神火温泉

元町港まで戻り、最後に温泉に入りに行く。岩っぽいゴジラ御神火温泉、ここは最高だった。丁度昼頃訪問したが人はほぼおらずサウナも貸し切り。打たせ湯やジャグジーもあり、並みの温泉施設を超えていると思う。元町港→岡田港へ移動し帰りの船の時間まで腹ごしらえをする。トリを飾るのはやはりこれ、べっこう寿司。一泊二日とは思えない満足感で二日間が一瞬だった。ばいばい伊豆大島客室は激込みだったので基本デッキでくつろいでいた。うっすらと大室山らしき山が見えている。房総半島の金谷を通過中。横須賀を通過中。海上から眺める富士山と夕日。これはもうトゥルーエンドと言っていいかもしれないな。

総括

久しぶり( 3ヵ月ぶり)の離島旅行だったが、やはり島は晴れるに越したことはない。「伊豆大島とか本土に近いしたいした観光地もないだろ笑」と勝手に思っていたがまさかここまで堪能できるとは。それと島内の二面性。フェリーが発着する港付近はさすがに改築されていたが、島南部の波浮地域は民家や建物が当時のまま残っていたのは情緒があってまさに自分好みのもの。夏場や連休中は絶対混雑しそうだが、閑散期に行けて良かった。

居酒屋での一連の出来事も今思い返せば良い思い出か。島民の気性とノリと割り切れば普通に面白い人だったので。滅多にしないガチなトレッキングも自分の体力を再確認できたので、今後は山岳エリアで軽めの登山に挑戦するのも面白そう。

ともあれ改めて伊豆諸島の偉大さを感じることができた。伊豆諸島、次は式根島神津島でお会いしましょう!